レトロトランスポゾンとは。

レトロトランスポゾンとは、逆転写酵素を持つ転移因子です。DNA型の転移因子と異なり、既に挿入されているコピーからRNAを転写、蛋白質を翻訳し、その蛋白質中の逆転写酵素ドメインによってRNAを逆転写することで転移します。このため、"copy-and-paste"型の転移をすると表現することができます。自己スプライシング活性を持たないことでレトロイントロンと、また、細胞外に出ないことで、レトロウイルスと区別されます。現在のところ、レトロトランスポゾンは真核生物の核ゲノムにのみ存在が確認されています。真核生物の核ゲノムに存在するレトロエレメントとしては、他には、テロメラーゼがあるだけです。(ただし、近年、レトロイントロンに由来すると思われる逆転写酵素が植物の核ゲノムに見つかっていますので、今後他にもみつかってくるかもしれません。)
レトロトランスポゾンの構造一覧
クリックすると別ウインドウに拡大します。レトロトランスポゾンは最近まで、LTR retrotransposonとnon-LTR retrotransposonに分類されてきました。しかし、Penelope-like retrotransposonとDIRS-like retrotransposonは、その構造、想定される転移機構などがLTR retrotransposonとは異なるため、LTR retrotransposonから独立させるべきであると考えられます。 従って、レトロトランスポゾンは4グループに分けられます。すなわち、
  • non-LTR retrotransposon
  • LTR retrotransposon
  • Penelope-like retrotransposon
  • DIRS-group retrotransposon

  • です。
    レトロエレメントの系統樹
クリックすると別ウインドウに拡大します。ただし、逆転写酵素の進化系統的には、DIRS-like retrotransposonはLTR retrotransposonに含まれるので、LTR retrotransposonから派生したと考えられます。他の3グループは系統的にも大きく異なっています。また、retrovirus、hepadnavirus、caulimovirusの3グループのウイルスはLTR retrotransposonから派生したと考えられます。(LTR retrotransposonの中でも、gypsyなどはretrovirusのenvelope蛋白質に似た蛋白質をコードしており、構造的には、retrovirusと全く区別つかないものもあります。ドメイン構造からは、retrovirusはLTR retrotransposonの中でも、Ty3/gypsy groupから派生したものと思われます。)



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